新しくアガベを迎えたら、まず最初にやりたいのが殺菌と殺虫処理です。
殺菌と殺虫は必須作業だと思います!
アガベは丈夫だと言われますが、やはり植物ですので環境の変化はアガベにとっても強いストレスになります。ベアルートで輸入されたり、親株から切り離されたり、輸送環境の温度や湿度が高かったり(低かったり)と。普段大地に根差している植物にとっては考えられないほどの変化が起こります。
そんな目まぐるしい環境変化の末に、新しいお家に迎え入れられたアガベ。やはり、初期導入時にはトラブルを起こしやすくなるのも頷けます。
そこで、できる限りアガベを健康に育てるうえで、一番最初にできることが殺菌&殺虫の薬剤処理になります。薬剤の処理が甘いと、アザミウマなどの害虫が入ってきたり、輸送時についた傷口から細菌感染したりしてしまうので気を付けてください。
アガベのベアルート株の殺虫&殺菌
アガベの入手スタイルとしては、よくあるのが『ベアルート』と呼ばれる状態。主に海外で育成されたアガベで多く、土から引っこ抜いて根を切り落とした株で、見発根の株。
ベアルート株は根がないので傷める心配もなく、殺虫・殺菌は簡単。薬液にドブ付けすればOK。
主に殺虫はアザミウマに対して行い、殺菌は炭疽病など糸状菌由来の病気を防ぐために実施する。使える薬剤は多くあるが、注意したいのは殺虫剤の場合は速効性がある薬剤を使うことと、殺菌剤は予防ではなく治療効果のあるものを使うこと。それが良いかと今のところ思っている。
詳しく薬剤について書いてます
導入時にしっかり防除しても、葉の中に卵を産み付けられていたらアザミウマの被害は後日出てくる。そのために、浸透移行性の殺虫剤も定期散布として確実に実施する。実際、室内での育成環境でもアザミウマには苦しめられたので、打てる手は打った方がいいかと。
アザミウマは本当に厄介なので…できる限りの対策はしたいところ。
実際に殺虫&殺菌している方法
色々な薬剤があり、十人十色の考え方と実施方法があるので、あくまで自分の方法の忘備録。参考にする場合は自己責任でお願いいたします。
ベアルートのアガベはドボン
ベアルート株や抜き苗のように、鉢に植っていない状態のアガベを購入したら、殺菌剤と殺虫剤を溶かした水溶液にドボンと漬ける。人によって使う薬剤や漬けて置く時間は異なる。
最近の自分の方法は以下の通り。
ベンレートを1000倍希釈(もしくはトップジン1000倍希釈)+ディアナSC3000倍希釈+モベントフロアブル2000倍希釈に5〜20分程度漬けている。株の大きさに応じて漬ける時間は変更している。
展着剤は使用しない。
ベンレートおよびトップジンは浸透移行性の作用があるので、万が一手に入れたアガベが糸状菌などに侵されていたとしても、治療および悪化を防ぐことができる。ダコニールは予防薬なので、導入時には念のためベンレートなど治療の効果がある殺菌剤がおすすめです。
ディアナとモベントフロアブルの2つを混ぜている理由は、ディアナは浸透移行性がないので浸透移行性に優れたモベントフロアブルを加えることで、より芯の潜む虫に効くようにしています。
海外から輸入されたベアルート株で中株程度なら、時折回転させて芯まで薬液が染み込むように20分ほど漬けています。子株だったり、弱そうなアガベの場合は浸漬時間を短くしている。
鉢植えで購入したアガベはどうしている?
自分は鉢植えでも、一度土から抜いて殺虫殺菌しています。自分の用土に再度植え直しています。購入元に絶対的信頼がないと、購入後の用土をそのまま使ったりはしていません。用土の中に、アザミウマの蛹や親が隠れていることもあるからです。さらに、ダニ類だったり用土の中の悪さをする細菌類だっている可能性があります。
鉢植えも抜いて殺菌&殺虫しています。
導入時の殺菌&殺虫は完璧じゃない
どれだけ丁寧に導入時に殺菌&殺虫をしたからといって、完璧に害虫の侵入を防げるわけではないことを知っておく必要がある。
実際に葉の中にアザミウマが卵を産んでいて、それが新しい葉が開いた時に時限爆弾のように被害が出たことがありました。
葉の中にアザミの卵が…
導入時に殺菌&殺虫しても、やっぱり完璧ではないので薬剤の種類を変えて、定期的に(自分は室内で2週に1回)殺虫剤を散布し完全に殺虫することが大切。同じ系統の薬剤は何度やっても効かないと思っておいた方が良い。
あと、新規導入株は検疫ではないですけど、うちでは他の株から離して2週間〜1ヶ月ほど様子見ています。怪しいヤツは長い期間様子見ています。
検疫の徹底ぶりは、製薬会社での知識を利用しています。
導入時に厄介なアガベマイト
最近アガベマイトというフシダニの仲間が幅を利かせている印象があります。ROUKAさんの報告で一気にメジャーになった害虫です。
急に有名になった厄介なヤツです。
自分も子株交換で頂いた子がアガベマイトにやられていました。黄色の丸をつけたところが分かりやすいですが、マダラに葉緑素が抜けてしまっています。
アガベマイトがいるアガベは、胴切りしても子株にももう移ってしまっていることが多いと感じています。
某フリマなどの写真を観察していると、よく『親株が虫に食われて胴切りした』と言って子株を販売していますが、親株と同様に販売中の子株までアガベマイトが蔓延しているのを見かけます。
あと、アガベマイトはアザミウマやハダニに使われる薬剤を使っても、薬剤の種類によっては効果なく症状は進んでいきます。
自分はアグメリックに加え、手持ちのダブルフェースフロアブル、コテツフロアブルの3剤でのローテーションで完全に駆除しました。アグメリックとハチハチは劇薬でJAなどで入手可能です。
導入時にアガベマイトにやられていそうな場合は、隔離してアガベマイトに効果がある薬剤で徹底的に処置して駆除することが大切です。アガベマイトは隣のアガベに容易く移動します。気がついた時には、周り全部アガベマイトの被害…とならないためにも用心した方が良いです。
アガベマイトの駆除は時間がかかりますが、駆除後はバグった葉が数枚展開後に綺麗な葉が出てきました。今では他のアガベと一緒に植物棚で育っています。
アガベマイトの駆除方法について詳しく書いています
アガベの導入時の殺菌&殺虫について まとめ
アガベを新規で導入する際には、殺菌剤と殺虫剤の処理をしっかり行うことが、自分の育成エリアに害虫や病気を持ち込まないようにする第一歩です。
自分は殺菌剤は進行移行性がある治療効果があるものを使用し、殺虫剤は浸透移行性を持たない即効性があるもの、さらに浸透移行性がありなるべく芯まで殺虫できるタイプの殺虫剤を使用しています。
それでも、アガベの葉の中に産卵されてしまっていたり、成長点の近くまで入り込んだ害虫の退治は難しいです。新規アガベを導入する限り、害虫や病気の発生リスクは無くなりません。ですので、定期的な殺虫がポイントになってきます。
安価でどんな管理をされているのか分からない株や、某フリマの胴切り子株など販売写真をよく見ると、高い割合で虫が潜んでいそうな状態だったりします。あえて出品者が知識があって、虫がいるのを隠そうとして成長点を見せない写真も多いです。
購入の際には株の状態にも注意してください。
さらに、最近よく見かけるアガベマイトはアザミウマ類でよく使用される殺虫剤が利かず、別途殺ダニ剤を用いないと駆除できません。
新しいアガベを迎えた時には、怪しい株なら尚更ですが、ちょっと置き場所を変えて虫がいたら駆除してから合流させた方が安全だと思います。怪しい販売者からは極力お迎えしない。あと、害虫や病気はどんなに気をつけても持ち込んでしまうものだと思って、定期薬剤散布の徹底をお勧めします。
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