龍球荟のアガベ海王。わりと長葉系の性質が強いオテロイで、深い緑の葉色に真っ白い鋸歯がトップからサイドまで連なっている感じが、海の白波のよう。だからこそのネーミング「海王」。名前通りのアガベです。
龍球荟がリリースした時の海王は、狼人・黒豹と同時期に一気に注目を集めたアガベでした。小さなネギ子株が数万円、中株になると二桁そんな感じでした。

自分もどのタイプを迎えるか悩み、海王にしました。
そのあと、中国では売れるアガベが超大量メリクロン化されるようになってしまいました。アメリカではメリクロン技術はそれより前から使われていたのですが、中国に技術が入るとアメリカの比ではないほどの量産工場化。
と、TC苗に関しては色々と過渡期を過ごしたわけですが、海王や狼人、黒豹についてはリリース当時のネームがそのまま使われています。(中にはナーセリーの兼ね合いや、付加価値のためにリネームされているものもありますが。)
アガベ 海王 from 龍球荟の育成記録
販売者さんが龍球荟の親株の写真を見せてくれ、悩みに悩んで、自分は海王を選んでお迎えしました。その後、狼人がすごい人気になっていたので、少数派の趣向なのかもしれないです。
迎えた海王なのですが、どうやら子株の成長点に軽いダメージがあったようで、のちに双頭化して2株になるというミラクルな成長を見せてくれました。その変化がどのように進んだのか、細かく記録しています。
成長点がバグって双頭化するまでの記録(2022年春〜秋)
憧れの海王の子株を入手してしばらくすると、子株の小さな成長点に少しダメージがあったようで。バグった状態で育ち、最終的に落ち着いた時には双頭海王になりました。

枯れてしまうのか?と、ヒヤヒヤしながら見守った記録です。
海王の子株を入手|2022年4月
アガベ海王の子株を入手。すでに植え付けられていて、根から水が吸えている様子でした。殺菌殺虫処理をして、自分の環境に合うように子株用の甘めの用土に植え替えました。

海王の子株の新葉がなんか変|2022年5月
海王子株を育成し始めて1ヶ月。成長して新しい葉が展開してきたところ…なんだか一番新しい葉の様子が変です。
正常に展開している1枚前の葉に比べると全然見た目が違います。色味は黄色が強くて形も細くて弱々しい。よく見ると、もう次の葉のトップスパインも控えています。
そして何より、このあと2週間ほどでこの真ん中の黄色い部分がスポっと取れます。心臓出そうなほどびっくりです。

黄色い部分が取れた時は「終わった…。」と思いました。

海王の子株の成長点がバグった|2022年6月
アガベ海王の子株を育成し2ヶ月。黄色い部分が取れたものの枯れないし、確実に成長点に強い違和感!というわけで、根が心配なのと成長点が用土でちょっと見えない位置だったので、一度鉢から抜いて確信しました。
根は大丈夫。でしたが、『成長点!?』めっちゃ細かい葉がぎっしり詰まっている。まるでフィリグリーとかのモンスト化(綴化)が始まるような状態です。成長点が次々出てきてぐちゃぐちゃになっちゃうアレです。
でも、根も生きてるし成長点もバグってるけど健康状態が良さそうで一安心。

海王くん生きてて良かった!

成長点が2つになった海王の子株|2022年7月
海王の子株育成3ヶ月。6月時点で根が大丈夫だったので植え込んで観察を続けていました。植え込み時点で、成長点が用土に近く腐りが心配だったので少し辛め設定。表土は成長点が湿っぽくならないように軽石にしています。
見守っていると、右のメインの頭の横から小さいな芽がもう一つ出てきました。成長点が2つに別れて、双頭化したようです。どうやら、5月にスポッと抜けた中心部分が芯止めと同じ作用になっていたみたいですね。

海王くん、キミは2株になるのかい??

そして海王は2頭になった|2022年9月
海王子株の育成を始めて5ヶ月。脇から小さな芽を出した海王は、2頭の海王小株へ昇格!土台となる根は1つの海王(入手時の子)のものなので、成長点が別れて双頭になっている状態です。

ちっさい海王が2つになりました!
ちなみに鉢はプレステラ90深鉢ですので、下葉の長葉に比べるとすごく小さいです。しかし枯れずに双頭の海王に育ちました!

分頭を決意!兄弟海王それぞれ育てる(2022年秋〜)
双頭化して2株に増えたアガベ海王。やはり窮屈そうだったので、小株サイズに育ってからは株を分けて、兄株と弟株としてここから育成しました。
海王の双頭株を分ける|2022年12月
2022年12月末。海王の2株をそれぞれ独立させました。分ける時にはすでに、それぞれの株が発根しており土台の根だけでは足りない栄養を補おうとしている状態だったので、そのままプレステラ90深鉢植えました。
とくに弟株の方が兄株の成長の勢いに押されて窮屈そうだったので、分けて正解。土台の根からは兄株の方が多く栄養を受け取っているので、兄株の方が中心の鋸歯が黄色く、成長の勢いがあることがわかります。

大きい方が海王兄、小さい方が弟です。
完全にくっついていたので、ナイフで切り離し、半日ほどサーキュレータで切り口を乾燥してから植えました。さらに表土の部分がちょうど切り口なので、瓦素材のもので乾燥させています。水やりは一応1日経ってから行っています。

株分から4ヶ月の育成比較|2023年5月
2022年12月末に兄弟を切り離して、同じ用土で同じ頻度での水やり環境は隣同士で育成。右が弟株。
株を分ける前は、兄株の方が歯の展開が早かったのですが、株を分けてからは小さい弟株の方が中心の鋸歯が黄色く成長に勢いがあります。

弟株が兄株のサイズに追いつくのか?

育成2年で4号鉢オーバまで成長|2024年5月
海王の子株を入手し、育成2年。成長点がバグって子株時に双頭化したりを経て、それぞれ4号の鉢からはみ出すサイズまで成長しました。(途中プレステラ105への鉢増しもしています。)

4号鉢への鉢増しはサイズの関係で、兄株が2ヶ月ほど早いです。
兄株は弟株よりも最初から大きかったので、用土を若干辛めにしています。そのこともあり成長スピードは落ちて葉の色も黄緑っぽくなっています。

弟株は兄株に比べると少し短葉で、ガンガン伸びそうにもなかったので兄株よりは赤玉等を増やし若干甘めの用土にしています。保水性が兄株よりいいので、葉の展開も早く葉も緑で健康そうですね。

4号鉢はこれです
プレステラを卒業したあと、4号の時は主にバンクスコレクションのミドルポットを使用しています。

まさかの葉焼けミス!仕立て直しへ(2025年1月〜)
海王兄弟のそれぞれの成長を見守ろうと思っていたのに、ここで壮絶に葉焼けさせてしまうミスをします。原因などはショックすぎて書くまでに3ヶ月ほど時間がかかってしまった記事を見てみてください。

詳しくは懺悔の記事書いています…。

海王の大株が盛大に葉焼け|2025年2月
龍球荟の海王の子株を入手して、もうすぐ3年という2025年1月末に1泊2日の旅行で海王の大株を葉焼けさせてしまった。まさかまさかの真冬に、他のアガベと共に海王も盛大に葉焼けさせてしましました。
葉焼け当日よりも時間が少し経った時から被害は明確に。兄弟ともに焼けましたが、兄株の方が焼けようが酷かったです。
置いてる位置は隣なので、兄株の方が用土が辛めだったからか?根鉢感が強かったからか?のどちらかが原因だったかな思っています。

ほとんどの株を焼いてしまい、落ち込みました。

葉焼けからのリスタートを選択
ちょうど植え替えの時に葉焼けさせてしまってしまったんですよ。根鉢だと仕立て直しもできない。
そこで、葉焼けの症状が出たばかりだと株の体力が弱っているので、1ヶ月ほど待ってから植え替えしました。5号鉢に鉢増ししています。
葉焼けが酷い状態でしたが、このまま焼いた葉が下葉になっていくように育成を続け仕立て直します。アガベを始めた頃なら切ってやり直したかもしれませんが、3年分の育成が飛んでしまうので。

葉焼け状態から仕立て直しすことにしました!
海王は大器晩成っぽいので切ってしまうともったいないと思って。天の部分は再発根で鋸歯や葉が弱くなる。残した下の部分は子株からのやり直しになる。
下の部分に子株1つだけ残して親の根で育成する方法もありますが、そうなると下葉の葉焼けも残りますしね。このまま3年分の育成を引き継いだ形でのリスタートです。
葉焼けから5ヶ月でここまで復活!|2025年7月
海王の3年生を焼いてしまってから5ヶ月。5号鉢はDAXに植えています。用土は大株なので辛めで、いつしか兄弟株に差がなくなったので共に同じ用土にしています。
根の整理も軽くしたので、ちょっと時間はかかっていますが水も吸えるようになり、徐々に新しい葉も出始めている弟株です。

5DAXの植木鉢はこれです
5DAXは5号だけど高さがないので、自分の環境では菊鉢より使いやすいので気に入っています。
葉焼け被害が酷かった海王兄株。全体で見るとボロボロだけど中心はきれいな葉が展開しています。鋸歯が弱ることもなく順調。なんならさらにここから攻めたいところ。
兄株も根を整理して水も吸えるようになっていい葉の色に戻りました。

ちょっと寄り兄株の写真。濃い緑色の葉に白い鋸歯、やっぱり海王最高です。屋内LEDの限界を超えて屋外やハウスのようにドシっと育てるのにはまだまだ時間がかかりそうです。ただ単に大きく育てるのは簡単ですが、その先ですよね、問題は。

室内LEDでもダイナミックに育てたい!
まずは葉焼けの傷がある葉が下葉になって、処理するってところが目標ですね。

龍球荟のアガベ海王を育てている感想
アガベ龍球荟
憧れの龍球荟の海王
龍球荟のアガベ海王はリリース当時、狼人や黒豹と共に一気に人気に火がついた憧れ的存在でした。自分も一気に三日部お迎えするなんてことはできず、悩みまくって『海王のネギ子株』を購入しました。

持って帰る時、めっちゃ嬉しかったです。
龍球荟は親株を切って子株を増やすため、そもそもの入荷数も限られていてお高い価格も納得です。その後、中国にメリクロン技術が浸透、ナーセリーの想いとは裏腹に出どころ不明のTC苗が溢れ出しまた。これは他のナーセリーのブランド株でも同じですね。
自分は龍球荟のアガベが好きなので。ここら辺は「どの車に乗る?」っていうような価値観の感覚に似てるかもしれません。
手に汗握る双頭化事件
頑張って入手した海王の子株の成長点がスポッと抜けてしまった時の恐怖。『終わった…。』と思いました。

海王くんの根が強くて良かった。
根が元気で腐りではなかったので、そこから成長点がバグって双頭化して2株に。お高い株だったので販売店の方にラッキーと言われたりしました。
それぞれを分けて兄弟株で管理
双頭のまま育てて付加価値をつけるというのも栽培の楽しみの一つですが、自分は王道の1株で育て上げたこともないのに分不相応。というわけで、2株に分けて育て比べました。
結果、メリクロンよりも薬剤を使っていないので確実な双子くんは、最初は大きさの違いはあれど、4号鉢を超えるころにはネームプレートがないと分からないくらいになりました。(途中、弟株だけ用土甘めにして成長速度を上げました。)

大きくなるにつれ、ほぼほぼ同じ姿になりました。
葉焼けさせてからの仕立て直し
4号鉢のサイズを超えるほどになるまで3年。その3年を失うほどに落ち込んだ葉焼けミス。もう大半のアガベを焼いてしまっているので、開き直り海王も仕立て直します。
海王は大器晩成っぽい雰囲気があるアガベなので、ここで切ってしまうと胴切り天は再発根で鋸歯が弱るし、子株からだと今までの3年が…ということで切りません。

子株が欲しいわけではないですしね。
過去に凍傷のアガベを仕立て直したことがあるので、痛んだ葉はいずれ下葉になっていくし、一番下に来た時に植え替え時にむしっていけばきれいになります。年月はすごくかかるんですけど、気長に取り組みます。
あと、3年の育成期間を通して、兄株・弟株ともに1度も子株が出たことはありません。

メッセージがあればどうぞ